ゆっくり虐め専用Wiki - ゆっくりいじめ系1330 日常、時々、非日常 後編_01
それは胴なしのゆっくりだった
ゆっくりちぇんのような大きな耳と二股の尾を持ち、まりさ種の帽子を被ったようなシルエットだった
みょんやありすの髪飾りなど、他のゆっくりの特徴もいくつか持っているようだがよくわからない
そのゆっくりは全身真っ黒だった。まるで墨汁を垂らしたかのような黒いゆっくりがそこにいた
目らしい器官はなく、その表面は黒いボーリング玉のようにも見えた
口を大きく開けると白い牙が見えた、それ以外は口の中も全て黒だった
「むぎゅっん゛!」
いきなり自分を数えたぱちゅりーに噛み付いた。一噛みでぱちゅりーの体の半分が喰われ絶命した
「あ゛・・あ゛あ゛あ゛・・・」
そこへちょうど餌を運んできたまりさが帰ってきて、その光景を見て固まった
「よ゛く゛も゛おおお、は゛ち゛ぇ゛をををををを!!」
ふらんは初めてそのまりさが喋ったのを見た
このまりさは生まれた時から、このぱちゅりーに餌を運んでいた
そうするように彼女の本能に刻み込まれていた
ぱちゅりーがただ数をかぞえるのが存在する理由なら、自分はぱちゅりーに餌を届けるのが存在の理由なのだと思った
気付けばぱちゅりーのことが好きになっていた。そうなるよう改造されているのか、彼女自身の意思なのかは研究者の男以外わからない
数え切れないほど餌を運んだが一言も言葉を交わしたことは無かった
別にそれで構わなかった。ただぱちゅりーを支えられるだけで嬉しかった
いつか自分達がこの得体の知れない使命感から開放される時が来るなら、いつか夫婦になり生涯を共にしたかった
だがもう、その願いは叶わない
「し゛ね゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
逆上したまりさは絶叫しながら黒いゆっくりにぶつかっていくが一噛みで体の大分を失い、ぱちゅりーの後を追った
噛み千切られて命を失う直前に見たぱちゅりーの顔は何処か安らかだったのにまりさは気付いた
(ああ、ぱちぇはもうかずをかぞえなくてもいいんだ・・・だから)
そこでまりさの意識は途絶えた
どのようにごみボックスの列車猫のへ
重なる二匹の死体を貪る黒いゆっくり、口からまた白い牙が見えた。れみりゃ種やふらん種が持つものにそれは類似していた
小声でふらんは少年に話しかけた
「あいつは私たちの存在に既に気がついてるわ。いい、変な物音を立ててあいつを刺激しないで」
「音?」
二人はその場で立ち止まり動くのを止めた
黒いゆっくりは真っ黒な舌を空気を舐めるようにチロチロと出して周囲の様子を探っていた
そして彼の足のすぐ傍をそれは通る。通る際にしきりに靴の臭いを嗅いできた、まるで犬のようだった
たったそれだけの動作に彼は大きな危機感を抱いた
過去に海水浴で自分の足元を大きな魚が通った時にも同じような感じを受けたが、これはその比ではなかった
彼の足から離れて、しばらくあたりの様子を窺ってから一番近い壁の下側にあった通気口の中に入っていった
完全に姿が見えないのを確認すると二人は溜め込んでいた空気を吐き出した
「なんなんですかアイツは。あんなの図鑑にも載ってないですよ!」
「あれがここに住む三匹目の捕食種であり、ここのオーナーが作った人工ゆっくりの完成品よ」
日記帳に書かれていた内容を思い出す
「七種類のゆっくりの良い所を切り貼りして造られてるわ。ウルトラマンのタイラントでも創造してくれると良いわ」
「たいらんとって何ですか?」
(これがジェネレーションギャップか・・・)
彼女はあの正体不明のゆっくりについて彼に説明した
「あのクロスケはまりさ種、れみりゃ種、ふらん種、めーりん種、ちぇん種、みょん種、ありす種が合わさって出来てるわ」
「なんでもっと強いもの同士を組み合わせないんですか?」
「きっと組み合わせに相性があるのよ。あと目が見えない分、他の五感が優れてる事、顎の力が強くて表面の皮が丈夫ってのが特徴ね」
「なんで黒色なんですか?」
彼女はその問いには首を傾げた
「さぁ? オーナーは『混ぜてるうちに勝手に黒くなった』って言ってたけど本当の所はわからないわ」
彼女もあのゆっくりについては知らないことの方が多かった
ちなみに彼女はあの黒いゆっくりのことをクロスケと呼んでいたが、それは正式な名が無いため勝手に付けたあだ名だった
犬小屋に搭乗した後の犬の嘔吐
彼女は先ほどのクロスケが出て行った通気口に再び目をやると、慌てて立ち上がった
「どうしたんですか?」
「クロスケは普段地下の最深部で暮らしてるの。きっと空気の流れが変わったのを敏感に感じ取ってここまで出てきたのよ」
血相を変えている彼女を見て彼も緊急事態だとわかった
「あいつは外に出られるようになったことを知ったのよ。その証拠にあの通気口は私たちが最初に来た道、つまり外に続く道に繋がってるわ」
「それって・・・」
「急ぎましょう、あいつが外に出たら色々と厄介よ」
二人は地下の出口に走りだした
足は彼の方が速かったため、途中からは彼が先行していた
開いたままのフェンスを潜り研究室に出て廊下を通り外へ出ると、クロスケは玄関を出て門に向かって跳ねていた
「インタンーホンの横にボタンがあるわ! 押して!!」
彼も一度このボタンを押していたので、何が起こるは分かっていた
力いっぱいボタンを叩く
錆付いた音を立てながら門が閉まり始めた
クロスケは門の音で一瞬怯んだため、門を抜けて外へは出られなかった
「よし、あいつを閉じ込めたわ。二人であいつを・・・」
「う~~♪ またふりゃんにあ~~えったど~~~♪」
通り過ぎた一階の研究室の方から声がした
クロスケが外に出られないようになっているのを確認してから二人はその声がした研究室に戻った
そこでずんぐりむっくりの緑色が見えた
机の上でれみりゃザウルスが踊っていた。椅子を積んでよじ登ったらしい
ふらんは最初と最後に聞いたぱちゅりーのカウントした数字を思い出す
(最初に通ったときが3147、3148でさっき通ったときが3150、3151・・・・3149が抜けてると思ったけどコイツだったとは・・・なんで今になって・・・)
余りの鬱陶しさとタイミングの悪さに偏頭痛を覚える
「どうします、あいつ?」
「無視よ無視! 今はさっさとあのクロス・・・・」
れみりゃの手に光るものが握られているのに彼女は気付いた
それが自分の失くした彼の家の合鍵だと瞬時にわかった
「・・・私があいつを引き付けるから、あなたがクロスケを殺りなさい」
「え、ちょっと。言ってることがさっきと・・・」
「い、今思い出したわっ! で、電波はこの建物までしかと、とと届かないのよっ! アイツが邪魔しないようにサポートするから行ってきなさいっ!!」
もちろん嘘である
アーネスト·ヘミングウェイのペットの猫は誰でしたか?
「ちなみにあいつはドーベルマンより強いから気をつけて」
「はぁ!? 何スかそれ!? そんなの相手に丸腰じゃさすがに無理ですよっ!!」
「これを使いなさい」
彼女は机の上にあったものを彼に手渡した
「魔剣"れーう゛ぁていん"よ」
「どうみてもボルトを締める時に使うスパナにしか見えませんが?」
「んもう、ワガママね」
今度は床に落ちているものを拾い上げる
「魔剣"れーう゛ぁていんⅡ"よ」
「一緒じゃないですか?」
「全然違うわ、これはレンチよスパナじゃないわ」
「素人から見たらどっちも同じです! てか認めましたよね、それが工具って。そもそも・・・」
彼の目が自然とれみりゃに流れるのを彼女は見た
(やばいっ!)
ここでれみりゃが鍵を持っていたことがバレたら自分の信用に関わる、今は笑って誤魔化せば良いかもしれないが後々にお互い禍根を残す
そう思った彼女は彼の襟を掴み強引に自分の方へ引き寄せた
「えっ?」
唇と唇が重なり、すぐに離れる
「・・・・・・」
突然のことで彼の思考が停止する
「クロスケ倒して帰って来なさい、そしたらもっとすごいことシてあげるから(OK。上手く誤魔化せたっ!)」
「・・・ぺっ」
「唾吐くなっ!! 口を袖で拭くなっ!!」
「俺のファーストキス・・・・いやゆっくりだからノーカウントで・・・いやでもこれは」
彼は意外と繊細だった
「女々しいこと言ってないで、良いから行って来ぉいぃ!!」
強引に"れーばていん"もといスパナを持たせて外に続く廊下に蹴りだした
「まったく、乙女の純情をなんだと思って・・・・・まあ良いわ・・・」
彼が庭に向かったのを確認して宿敵の方に体を向ける
れみりゃは机の上から降りようと恐る恐る椅子に足を伸ばしていた
庭に出ると東の空が明るくなっていた
遠くでは新聞配達員のスクーターの音が聞こえる
地面からは湯気が発生して、薄い霧を作り出していた。時間の経過と共にその濃度は増していた
彼女がクロスケと呼んだゆっくりは鉄で出来た門の扉にひたすら体当たりを繰り返していた
地下でクロスケを追いかける途中、彼女からアレの特徴をさらに詳しく聞いた
七匹の餡子が混じり合っているため、まともな思考を持っておらず生存本能のみに従って生きていること
聴覚は野生動物に匹敵すること
ちなみに繁殖する器官は持っていないとのこと
彼とクロスケの間は15mほどの距離があった
すでに気付かれているかもしれないが、静かな足取りでその距離を詰める
蹴り飛ばすことの出来る位置までやってきた。未だにそのゆっくりは扉に体当たりを繰り返していた
スパナを振り上げる
『シィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!』
「うわっ!」
殺気に反応したのか、急に彼の方を振り向き奇怪な声をあげた
「う~~・・・おりれないどぉ~~~~」
れみりゃは自分で登っておいて自力で降りられなくなっていた
「あーはいはい。私が椅子抑えててあげるから。慎重に降りてきなさい」
「ありがと~だどぉ♪」
ふらんにお尻を向けて四つんばいになり、彼女が支える椅子に足を下ろす
足が椅子に付こうとした瞬間、彼女はさっとその椅子を引いた
それによりバランスを崩したれみりゃは背中から床に落ちた
「うあああああああああああああああああああああ!!」
驚いた声の割に落下したれみりゃは無傷だった、体のどこも痛くはなかった
「本当、驚くほど丈夫ね・・・」
仰向けに倒れるれみりゃの上にふらんが馬乗りになった
「ふりゃんにおしたおされっちゃったどぉ~~♪」
彼女の姿を見るなり泣き顔から笑顔に変わり、きゃっきゃとはしゃぐ
(うぜぇコイツ)
予告無しでれみりゃの顔面に拳を落とした、が、また恐竜の口部分が勝手に閉じてれみりゃを守った
「この着ぐるみのせいで、私がどれだけ辛酸を舐めたか・・・」
顔が隠れて視界が塞がれている今のうちに鍵を奪い取ろうと手を伸ばした
「だーめーだーどー」
開いた口から見せた顔はやや不機嫌だった
その声に連動して鍵を握った手はぴっちりと閉じられて彼女の力ではびくともしなかった
強い腕力に頑丈な体、このれみりゃが黒いゆっくりに襲われない原因はそこにあった
「おらぁ!!」
ぽすんと虚しい音を立ててふらんの拳がまた弾かれる
「う~~むだー☆むだー☆、なんだどぉ~~♪」
その声でますますイラつき、夢中で殴った
殴りつかれて肩を大きく上下させて呼吸を整える
唯一の弱点である剥きだしの顔は強固な着ぐるみに守られたままだった
「こーさんして、れみりゃのおよめさんになるんだど~♪」
閉じた着ぐるみの口からくぐもった声が聞こえる。本人は既に勝った気でいた
先ほどからずっと貝のように閉じており、開く気配はない
ふらんに馬乗りにされつつも、れみりゃは徐々に体をよじり始めて起き上がろうとしていた
そのことに気付いた彼女は諦めたように肩をすくめた
このままれみりゃに起き上がられたら勝ち目は無いと判断した
「もう降参よ、降参。れみりゃ、あんたの勝ち」
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